前橋地方裁判所 平成６年（わ）４４号 判決
本店所在地
群馬県太田市大字市場一九番地の三
新日本工業株式会社
右代表者代表取締役
石井寛夫
本籍及び住居
右同
会社役員
石井寛夫
昭和二一年七月二〇日生
主文
被告人新日本工業株式会社を罰金一二〇〇万円に、
被告人石井寛夫を懲役一年に処する。
被告人石井寛夫に対し、この裁判確定の日から三年間、その刑の執行を猶予する。
訴訟費用は被告人両名の連帯負担とする。
理由
（犯罪事実）
被告人新日本工業株式会社（以下「被告人会社」という。）は、群馬県太田市大字市場一九番地の三に本店を置き、労働者派遣等の業務を営むもの、被告人石井寛夫（以下「被告人石井」という。）は、被告人会社の代表取締役として被告人会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人石井は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、雑収入及び売上の一部等を除外して簿外資金を蓄積する等の方法により所得を秘匿した上、
第一 平成元年九月一日から平成二年八月三一日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が二八五〇万七八八二円であったにもかかわらず、同年一〇月三一日、同県館林市仲町一一番一二号所在の所轄館林税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一一五八万二四一一円で、これに対する法人税額が三五一万五四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出して、不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額一〇二六万〇八〇〇円と右申告税額との差額六七四万五四〇〇円を免れ、
第二 同年九月一日から平成三年八月三一日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が一億六九八七万一一九〇円であったにもかかわらず、同年一〇月三一日、前記館林税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二一八六万六四一八円で、これに対する法人税額が七二三万四五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出して、不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額六二七三万六三〇〇円と右申告税額との差額五五五〇万一八〇〇円を免れ
たものである。
（証拠の標目）
判示事実全部について
１ 被告人石井寛夫の当公判廷における供述
２ 被告人石井寛夫の検察官に対する供述調書
３ 石井幹雄の大蔵事務官に対する質問てん末書
４ 館林税務署長作成の回答書
５ 大蔵事務官作成の告発書（末尾添付の脱税額計算書二通を含む。）
６ 大蔵事務官作成の渡航費用調査書
７ 大蔵事務官作成の渡航費用回収額調査書
８ 大蔵事務官作成の受取利息調査書
９ 大蔵事務官作成の雑収入調査書
10 大蔵事務官作成の事業税認定損調査書
11 大蔵事務官作成の査察官報告書二通
12 登記官作成の登記簿謄本（新日本工業株式会社に関するもの）
判示冒頭及び第二の各事実について
13 大蔵事務官作成の売上高調査書
14 大蔵事務官作成の旅費交通費調査書
15 大蔵事務官作成の雑益調査書
判示第一の事実について
16 大蔵事務官作成の修正損益計算書（自平成元年九月一日至平成二年八月三一日）
判示第二の事実について
17 石井直樹の大蔵事務官に対する質問てん末書二通
18 大蔵事務官作成の修正損益計算書（自平成二年九月一日至平成三年八月三一日）
19 登記官作成の登記簿謄本（ニュージャパンサービス株式会社に関するもの）
（法令の適用）
罰条 判示第一及び第二の各行為いずれも法人税法一五九条一項（被告人会社については、更に同法一六四条一項）
罰金刑の加重処理 判示第一及び第二の各罪につき被告人会社の関係で同法一五九条二項
刑種の選択 判示第一及び第二の各罪につき被告人石井の関係で懲役刑を選択
併合罪の処理 判示第一及び第二の各罪につき被告人会社の関係では刑法四五条前段、四八条二項（判示第一及び第二の所定の罰金額を合算）、被告人石井の関係では同法四五条前段、四七条本文、一〇条（犯情の重い判示第二の罪の刑に法定加重）
刑の執行猶予 被告人石井につき同法二五条一項
訴訟費用の負担 被告人両名につき刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条
出席検査官 信田昌男
（裁判官 円井義弘）